凍てつく街、静まり返る治療院

昨日からの大雪警報により、今朝の景色は一変していました。道路はほぼ全面が凍結し、時折聞こえてくる救急車のサイレンが、路面の危険さを物語っています。
当院でも、患者様の安全を第一に考え、予約のキャンセルを承るだけでなく、こちらからもお電話を差し上げました。「今日は路面が非常に危険ですので、無理をせず日程を変更しましょう」と。安全は何物にも代えがたい。それが、地域に根ざす治療家としての僕の判断でした。
しかし、そんな静かな朝、僕の心に火をつける出来事が起きたのです。
SNSに現れた「あの大物」の呼びかけ
昨日予定されていた「さいたまマラソン」が、積雪の影響で中止となりました。多くのランナーが落胆する中、日本陸上界の至宝・大迫傑選手がSNSで驚くべき動きを見せたのです。
「#さいたまマラソンの代わり で、42キロ走った投稿を見せてくれ!」

ネットの世界を通じて、全国のランナーにそう呼びかけたのです。その投稿を僕が目にしたのは、午前8時。本来なら、自分も走りたい。けれど、午後からは大雪警報下でも地元の消防団の集まりがある。
「今日はさすがに無理だろう……」
そう諦めかけた時、背中を押してくれたのは妻の言葉でした。
「やってみればええがん」の一言
今の事情を妻に話すと、彼女は笑ってこう言いました。 「行きたいんじゃろ。やってみればええがん」
その一言で、僕の迷いは吹き飛びました。運がいいのか、大雪の影響で子供たちの習い事も急遽休みになり、思いがけず「42キロを走る時間」が目の前に現れたのです。
こうして、警報発令中の雪空の下、僕の「ひとりフルマラソン」が決行されました。
凍結路面と「心の限界」との戦い
実際の道中は、想像以上に過酷なものでした。何度も心が折れそうになり、冷たい風が体温を奪っていきます。
今回のコースは、実家と今住んでいるアパートの往復。
- 実家〜アパートを2往復(これで約30キロ)
- 残りの10キロちょっとを微調整して走る
エイドステーション(給水・補給拠点)は、自分の実家とアパートです。凍える指先で補給食を口にし、再び雪の中へ飛び出す。30キロを過ぎたあたりからは、足の痛みよりも自分自身の「弱気」との戦いでした。
「あと10キロ、あと5キロ……」 一歩一歩、氷の上を踏みしめるたびに、自分が試されているのを感じました。
完走して見えた、数字以上の価値
最終的に、スマートウォッチが刻んだ距離は43キロ。なんとか無事に走り切ることができました。
終わってみて気づいたことがあります。 走っている間は、案外寒さは気になりませんでした。速度を落としていたこともあり、肉体的な疲労よりも必要だったのは、圧倒的な「忍耐力」です。
結局のところ、それは「気持ち」の問題であり、「自分の心の限界をどう越えるか」という自分自身への挑戦でした。
「雪だから」「仕事があるから」「中止になったから」
できない理由はいくらでも探せます。けれど、置かれた環境の中で何ができるかを見出し、一歩を踏み出す。大迫選手の呼びかけ、そして妻の言葉があったからこそ、僕は今日、新しい自分に出会うことができました。
まとめ
安全第一。それは間違いありません。しかし、その「安全な場所」に留まっているだけでは得られない達成感が、今日という日にはありました。
皆さんも、もし何かの壁にぶつかったり、予定が狂ってしまったりした時は、視点を変えてみてください。そこには、自分の限界を越えるための「新しいスタートライン」が引かれているかもしれません。
明日からはまた、この経験を治療の現場に活かしていきます。 凍結した路面はまだ続きます。皆様、どうか足元には十分にお気をつけてお過ごしください!

